こんにちは、くすりやです。
本日のテーマは
自己肯定感
についてです。
自己肯定感というと
自分に自信を持とう
自分を好きになって
自分を受け入れて
といったフレーズがよく使われます。
詳細はわからなくとも自己肯定感という言葉そのものはどこかで聞いたことがある方も多いことでしょう。
ただそれに類似した言葉で「自己効力感」と言った言葉もありますがその違いを答えられる人がどれほどいるでしょうか?
本書では自己肯定感と自己効力感を混同することを危険視しています。
今回紹介する書籍は心理カウンセラーとしてだけでなく心理学研究者としてもご活躍されている古宮 昇氏からの一冊となります。
著者:古宮 昇 出版社:総合法令出版
著者:古宮 昇
出版社:総合法令出版
本書はタイトルにあるとおり、自己肯定感の基本的なことが学べます。
また、自己効力感とはどういうものか、そしてそれが自己肯定感にどのような悪影響を与えているのか解説されています。
今回は自己肯定感と自己効力感の違いについてご紹介いたします。
自己肯定感とは
自己肯定感とは、自分のことが好きという感じ方であり、そのままの自分を認められる、受け入れられる、という感覚です。それはまた、今のままの自分のことがいとおしい、大切だ、好きだ、と感じられているということです。
第1章 自己肯定感とは より
自己肯定感の定義的な意味は上記のように考えられており、ありのままの自分を”無条件で”受け入れること、といえます。
この感覚は対人関係、その人自身の魅力、健康などあらゆる場面に関わってきます。
つまり、自己肯定感の高低で生き方そのものが変わってくるといっても過言ではないでしょう。
自己肯定感が高い人の特徴
日頃から気分がいい
自分を大切にできる
心が安定する
人を信頼できる
素敵な人の輪が広がる
自分を守ることができる
あまり迷わない
自己肯定感の高い子どもを育てられる
このようなことが挙げられます。
箇条書きにしてしまいましたが、これらは繋がっており相乗効果をもたらします。
自己肯定感が高い人はあるがままの自分を受け入れているため、日々気持ちが前向きでありまた自分を大切にしているため、心が安定しています。
心が安定していると余裕が生まれ、他人を尊重し、人を信頼できるようになります。
人を信頼できれば自然とよりよい人の輪を広げることができます。
また、自分という軸をしっかり持つため迷う機会も減ります。
そして、そのような生き方をしている方は自分の子どもにも自然と伝わるようになります。
次に自己効力感について見ていきましょう。
自己効力感とは
自己効力感とは、特定の事柄についての能力に関する自己評価を指します。
第1章 自己肯定感とは より
自己肯定感はありのままの自分を無条件に受け入れること、と紹介しました。
それに対して自己効力感は具体的な能力、例えば国語の成績や、料理などの技能、資格などの評価になります。
例えば
料理は得意だけど絵を描くのが苦手
という方であれば
料理の自己効力感は高く、絵を描く自己効力感は低い
と言えます。
別の視点でみればアイデンティティや自信の裏付けであると言えるでしょう。
自己肯定感と自己効力感の違い
自己肯定感は自分を面で見ているのに対して、自己効力感は点で見ているといえます。
自己肯定感の低い人の多くは、特定の事が劣っているため自分を好きになれないと感じています。
その苦しみを解決しようとして、自己効力感を上げようとすることは珍しくありません。
例えば
「もっと痩せたら自分を好きになれる」
「難関資格を取れたら自分の価値を認められる」
「一流企業に就職できたら立派になれる」
といったことが挙げられるでしょう。
ですが、劣っている点をいくら改善しようともそれは限定的な影響にしかなりません。
そもそも自己効力感はある条件下での評価とも言い換えられます。
自己肯定感はありのままの自分を”無条件で”受け入れる、という点からも自己効力感を高めたところで自己肯定感を上げるということには繋がらないことがわかるでしょう。
また、自己肯定感が低いまま自己効力感だけを高めた場合、自分よりも優れた能力の持ち主や、自分の思い描いた結果が得られなかったときに自己否定につながるリスクもあります。
逆に自己肯定感が高ければ、自分が本質的に価値ある人間と感じています。
そうした人がよりよい対人関係を築け、その人自身の魅力を高めることができ、心身ともに健康でいられるのでしょう。
最後に、自己肯定感を高める方法について紹介いたします。
自己肯定感を高める方法
これまでお伝えしてきたように自己肯定感は自分自身を受け入れることです。
自己肯定感を高めるはじめの一歩は
私を受け入れる
と決意することです。
本書では自己肯定感を高める7つの方法が紹介されています。
1 思い込みを見直す
自分では気づきづらいものですが、私たちの心には自己否定の思い込みや、自己否定を元にした「ああしなければならない」「こうじゃなければいけない」と自分を強制する思い込みがあります。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
このような思い込みは子どもの頃の親など過去に身近にいた強い存在の価値観をさも自分の価値観のように取り入れたものであり、自己否定の原因にもなっています。
当時はその価値観で正しかったかもしれませんが、今はどうでしょう?
世の中の常識、流れというものは移ろうものですので、今ではその常識が通用しなくなっている可能性も十分にあり得ます。
もしも立ち止まって、他者否定、自己否定、プレッシャー、落ち込みを生んでいる価値観について違和感を覚えたら
それは本当に正しいの?
と問いかけましょう。
こうして、自分の負の価値観が絶対的なものではないことを認識できれば少しずつ自由を取り戻せるでしょう。
2 人に無条件で優しさを提供する
自己肯定感の低い人は、人に無条件で良いもの・ことを提供することが苦手で、何かを提供する時には見返りを期待しがちです。それは、人にあげると自分の分がなくなる、という根本の思い込みがあるからです。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
筆者はこの点に関して子どものころに、親など重要な人から十分に会いさえれたとか温かい関心をもらえた、と感じられなかったことに原因があると述べています。
この信念を変えるためにできることは日頃から「この人が喜ぶから」、「この人に必要だから」という理由だけで、自分が苦痛に感じない範疇で何かを提供することです。
笑顔で挨拶をする
ゴミを拾う
人の手伝いをする
募金や寄付をする
このようなほんのささやかなことで良いのです。
このあたりはアドラー心理学でいうところの他者貢献に通じるものがありますね。
人に良いもの・ことを提供するということで
自分の手元にはそれが十分にある
という認識が行われます。
すると、人にあげると自分の分がなくなる、という欠乏意識から豊かさを実感できるようになります。
注意点としては提供した行為を誰かに話してしまうと、利己的な欲が芽生えてしまうので欠乏意識が強くなってしまいます。
ここでも見返りを求めない”無条件で”という要素が重要となります。
3 人の優しさを素直に受け取る
私たちは誰もが、人の優しさや思いやりを受け取る価値があります。ところが自己肯定感の低い人はそのことが信じられません。そのため「私はいいの、いいの」と遠慮したり、尻込みしたりしてしまいます。実は、そうして良いものを拒んでしまうのは罪悪感があるからです。無意識のうちに「こんなだめなことをした自分に、人の厚意や良いものを受け取る価値はない」と信じているのです。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
謙虚さや謙遜という考えは驕らずに相手を立てるという日本独自の文化と言え、同時に美徳と感じる方も多いです。
ですが謙遜と卑下は異なる考えです。
そこを混同せずに人の厚意を素直に受け取ることで
自分は人の優しさや思いやりを受け取る価値のある人間だ
と認識することができ、自己肯定感を高められます。
この点は「人に無条件で優しさを提供する」ことにも通じており、厚意を受け取ることで、他者への提供へ繋げられるので良い循環が生まれるようになります。
4 正しいことより、楽しいことや心地よいことをする
自己否定の強い人は、自分が何を感じているか、何をしたいか、何をしたくないか、何がほしいか、ほしくないか、という本音がわかりにくくなっていることがよくあります。
~中略~
言い換えると、「正しいことをしなきゃ責められる、拒絶される」と信じて「正しいこと」をしようとするあまり、自分がしたいこと、心地良いこと、うれしいこと、楽しいことをおろそかにしてきたのです。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
正しいことをしなければならない、というのは、大抵の場合は親からの刷り込みによります。
また周囲の視線や評価を気にして、自分の本心を無視したり我慢してきたことも原因と言えるでしょう。
著者は
じっとして自分の身体と心を感じ取ること
を推奨しています。
体と心に起きていることを無理にコントロールするのではなくただ感じるだけです。
その際は楽しいこと、ワクワクすること、心地よいことをするようにしましょう。
そうして自然な感覚に身を任せることで「正しくなければならない」という考えが、極端であることが分かるようになります。
それにより時には失敗してもいい、常に正しくなくても大丈夫という感覚を受け入れる余裕が生まれていきます。
5 自分の長所をほめるのではなく、感謝する
自分をほめるとプライドが上がり、それはいつか壊れます。そうではなく、自分に「ありがとう」を伝えましょう。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
長所をほめるということは自己効力感を上げられても自己肯定感を上げることはできません。
自分が行ったあるいは行わなかったことで誰かにプラスをもたらしたことを書き出して、自分に感謝の言葉をかけるのが効果的です。
例えば、会議で上司に対して自分の意見を言うことで今まで気づかれていなかった問題点が部署全体で共有できたとしましょう。
このことで、周囲と問題点をシェアできたことや改善策を考えるきっかけになり、他のスタッフへ貢献できたことについて自分に「ありがとう」と声をかけましょう。
自分に感謝することが自然とできるようになれば、ありのままの自分を受け入れる土壌が整っていきます。
6 自分を責めず自分に優しくする
自分を否定し、批判している人は、何十年経っても自己否定、自己批判を続けています。彼らは「自己否定、自己批判がまだ足りない。もっと否定し批判すればいつかは自己否定しない良い自分になれる」と漠然と信じています。そのままだと、その生き方を死ぬまで続けるでしょう。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
自分を苛め抜いて責め続ければいつか欠点はなくなり、完璧になれる、というのは誤った認識です。
自分を責めたり否定すればするほど、他人から責められたり否定されてしまいます。
その根底には「ああでなければいけない」という倫理感や道徳感に縛られており不自由さがあります。
いわば罪悪感に縛られてしまっていることが原因といえます。
このスパイラルから抜け出すためにどんな自分も責めずに、自分自身を優しくすることは非常に重要といえます。
7 プロのカウンセリングや心のセラピーを受ける
カウンセリングや心のセラピーは、誰にもある心の痛みを癒して解消したい、人として成長したい、と願う人のためにあります。
第2章 自己肯定感を高める7つの方法
カウンセリングや心のセラピーに対して、精神疾患の方や心の弱い人が受けるものという認識が根付いています。
ところが年々、うつ病や統合失調症などの精神疾患患者が増えている統計結果が公表されています。https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000940708.pdf
厚生労働省 精神疾患を有する総患者数の推移 より
このような統計から心の痛みを自分で解決することは困難であり、それは昔よりも困難さが増していると考えられます。
カウンセラーの方は表層的な問題を取り除き、一時的に心の痛みを取り除くのではなく、自己肯定感の低さの原因となっている心の痛みと向き合い、解決へと繋げる方たちです。
自分はまだ大丈夫
と、カウンセリングを受けずに辛い気持ちを抱え込んで心の病になるのはとても悲しいことです。
カウンセラーを頼り、話をすることは恥ずかしいことでもなく、心のケアのために非常に効果的です。
まとめ
今回は自己肯定感、自己効力感、自己肯定感の高め方について紹介しました。
まとめますと
自己肯定感とはありのままの自分を無条件で受け入れること
自己効力感は具体的な能力
自己効力感を高めることは自己肯定感を高めることにならない
自己肯定感を高める7つの方法
自己肯定感は子ども時代の教育に非常に強く影響されています。
自己肯定感が低い人はその誤った価値観に対する違和感に気づけるかがポイントとなります。
本書を通じて、自己肯定感を正しく理解し、高めることで自分自身の本来の良さを取り戻していきましょう。
今回は以上となります。
それではまた次の記事で!
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